放射線防護工事・X線防護工事・放射線防護建具・放射線防護ドアの蛍光産業株式会社

よくある質問の回答

新X線室防護のQ&A

JESRA TR-0038

Q-1.X(エックス)線とはどのようなものですか?
X線は、電子が高速で物体に衝突したとき発生する、短波長の電磁波です。1895年(明治28年)ドイツの物理学者W.C.レントゲン博士により発見され、物質透過性のある不思議な光線であるところからX線と呼んだもので、法律や学術用語になっています。
Q-2.X線とレントゲンは違うのですか?
「X線」と「レントゲン」はまったく同じ意味ですが、レントゲン博士の発見したX線ということで通称レントゲンと呼ばれています。医療法での正式な呼び名は「エックス線」になっています。
Q-3.X線の防護は、なぜ必要なのですか?
X線には、蛍光作用・写真感光作用・電離作用・物質中における減弱・透過作用・結晶体に当たっての回析作用といった性質があります。特に私たちに身近なX線診療は、これらの性質のうち蛍光・写真感光・物質透過を利用したもので、何らの痛み等伴わずに診断出来るところから、有効な手段として歓迎されてきました。ところが、医薬品に副作用があるようにX線の電離作用も一種の副作用と考えることが出来ます。しかも厄介なことにこの副作用は、生体にとって有害な効果しかなく、時には世代を超えて現れてくることがあります。そのためICRP(国際放射線防護委員会)の勧告をもとに我が国でも医療法等の関連法令で、被ばく線量を抑えるための数値が決められており、この値以下にするためX線防護が必要になります。
Q-4.X線の防護には、どのような方法がありますか?
放射線防護の三原則として、「時間・距離・遮へい」があげられます。X線も放射線のひとつですから当然、次のことを常に念頭におくことが必要です。
① X線の取扱い作業時間を短縮する。(撮影枚数)
②X線の発生源から離れて作業する。
③X線の発生源との間に遮へい物を置く。
Q-5.X線の「防護」と「遮へい」は、どう違いますか?
「防護」と「遮へい」とは、「材料」や「計算」の接頭に付ける場合、何の抵抗もなく使い分けしていないでしょうか。一般的には、「放射線防護の三原則」とはいいますが「放射線遮へいの三原則」とは言いません。しかも防護三原則の中に「遮へい」が入っているところを見ますと、どうやら防護のほうが広い意味での使われ方をしているようです。
Q-6.X線防護の遮へい材料の厚みは、どのようにして決めるのですか?
X線防護の遮へい材料の厚みは、遮へい計算という方法により求めることが出来ます。計算の方法は、医薬発第188号 都道府県知事宛 厚生労働省医薬局長通知(平成13年3月12日)に定められています。
*計算には撮影エネルギー・撮影時間・撮影枚数・配置・外部の状態等が必要。
*鉛等量の最終決定は病院(使用者・管理者)との打ち合わせが必要。
*計画時点では情報不足により、計算ができない場合もある。
Q-7.「線量」という言葉が良く出て来ますが、どのような意味ですか?
線量はシーベルトという単位で表され、放射線の生体組織への影響に比例すると考えられている量です。放射線の種類やエネルギーにより異なる生物的効果の違いも含まれています。X線防護工事の評価(漏洩線量測定)に使われる単位です。
Q-8.「鉛当量」という言葉を聞きますが、どのような意味ですか?
X線防護では、同一照射条件で、ある物質の遮へい能力を鉛の厚さに換算して表す場合に、鉛当量(mmPb)という表現をします。
Q-9.使用するX線装置によって遮へいの鉛当量は変わりますか?
一般撮影装置・X線TV装置・X線CT・PET-CT装置等の機種ごとに必要な鉛当量は異なります。なお、同一装置であっても、3月間における実効稼働負荷(mAs毎3月)、装置の配置と利用線錐の方向・周囲の状況等によっても鉛当量は変わって来ます。
Q-10.「遮へい防護」と「散乱防護」の違いを教えて下さい。
「遮へい防護」とは、X線診療室からの一次X線や散乱X線の漏えいを減弱させることを言います。「散乱防護」とは、患者や構造遮へい体等から跳ね返ってくるX線(散乱X線)を低減し、室内で作業する人(医師、診療放射線技師、看護師等)の被ばくを軽減することを言います。
Q-11.「利用線すい」とか「散乱線」とか聞きますが、どのような意味ですか?
X線の用語は、IEC(国際電気標準委員会)基準の中で、次のように定義されています。
①利用線錐:診断又は治療に用いるため、その広がりを制限された一次X線
②一次X線:X線管焦点から直接照射されるX線
③散 乱 線:人体または物体によって散乱されたX線
④漏れ線量:遮へい物を透過して漏れてくるX線量
Q-12.X線室の構造設備は、どのようにしなければなりませんか?
X線診療室について医療法施行規則では、次のように定められています。
①天井、床及び周囲の画壁は、その外側における実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下になるように遮へいすることができるものとする。
②X線診療室の室内には、X線装置を操作する場所を設けないこと。但し、間接撮影を行なう場合であって被照射体の周囲に箱状の遮へい物を設けた時または体腔管照射を行なう等の場合であって必要な防護物を設けたときは、この限りでない。
③X線診療室である旨を示す標識を付すること。
Q-13.X線診療室の遮へいの基準は、周囲の状況によって異なりますか?
異なります。医療法施行規則では、次のように規定されています。
① X線診療室の天井、床及び周囲の画壁の外側での実効線量は、1週間につき1ミリシーベルト以下。
② 管理区域に係る外部放射線の実効線量は、3月間につき1.3ミリシーベルト以下。
③ 院内又は所内の病室に収容されている患者が居住する区域の実効線量は、3月間につき1.3ミリシーベルト以下。
④ 院内又は所内の人が居住する区域及び敷地境界の実効線量は、3月間につき250マイクロシーベルト以下。
法律上①の規定がありますが、医療施設にあっては、X線診療室自体も含めて用途の変更が何時起るかわかりません。従って、基本としてX線診療室の画壁等の実効線量は、常に②~④の値で対応するよう、お勧めします。

.X線診療室の遮へいの基準は、周囲の状況によって異なりますか?

Q-14.X線診療室は、部屋全体を遮へいする必要がありますか?
医療法施行規則第30条の4(X線診療室)では部屋の全面(6面)に防護が必要とされています。「ただし、その外側が、人が通行し、又は停在することのない場所である画壁等については、この限りでない。」とあります。ここでいう「ない場所」とは、床下が直ちに土中の場合、鍵で管理できる場所とか、壁の外が崖地盤面下等である場合など、極めて限定された条件下にある場合について言っています。
Q-15.X線診療室の天井・床及び壁等の外側を法定基準の 線量以下に遮へいするためには、 どのような材料が使われるのですか?
規則に定められた線量以下にできれば、どのような材料を使っても良いでしょう。鉄筋コンクリートや、鉛板と石膏ボードやベニヤを積層した複合板、無鉛X線遮へい石膏板、鉛板、鉄板といったものもありますので、建物のTPOに合わせて選べばよいでしょう。 現在ではリニューアルに対応可能な鉛ボード(鉛板+石膏ボード)が主流となっています。
Q-16.コンクリートを遮へい物と考えて良いですか?
鉄筋コンクリートは、建築構造物の一部を構成するとともにX線を防護する立派な遮へい物です。管電圧等によって鉛当量は変わりますが、概ね鉄筋コンクリート10センチメートル(比重2.35)で1mmPbが目安となります。勿論、鉄筋コンクリートの比重にも左右されます。特に最近の建築に使われている生コンクリートの場合、練上がり比重で2.22程度ですから、密度が異なる場合にはその比率での補正が必要になってきます。施工時の注意点としては、壁に扉・観察窓・コンセントやスイッチのアウトレットボックス等が付く場合、コンクリートが十分回らないで雷おこし状のジャンカを作りがちになりますので、緻密なコンクリートを打つようにしてください。
Q-17.鉛を使ってX線診療室を遮へいする場合、どのような点に注意すべ きですか?
鉛板を壁や天井の下地に直接貼ると自重により経年的に遮へいの劣化を招く恐れがあるため、通常鉛を使って施工する場合は鉛板と石膏ボードを接着した鉛ボードを使用します。目地やコーナーなどのジョイント部には鉛の継ぎ手を用います。また、コンセントやスイッチボックスの裏なども鉛板で遮へいを行います。両面ボード貼りの軽量間仕切り壁の場合、鉛ボード側を先行して施工するようにしてください。これは鉛ボードが重い(鉛1.5mm+石膏ボード12.5mm、910mm×1820mmで約45kg)ため、容易に施工ができないことや鉛の継ぎ手には必ず下地が必要になるからです。
Q-18.鉛ボードを間仕切り壁の下地にビス止めした場合、ビス穴からのX 線の漏えいはありますか?
鉛ボードを固定するにはタッピングビスが多く使われています。診療領域で使用するX線では線量限度を超える漏えいの心配はありません。ただし、一度止めたビスなどが打ち違えたからといって抜いた場合、その穴を放置しておくと漏えいの恐れがあります。
Q-19.X線診療室の扉はどのように防護すれば良いですか?
① 扉の形状・・・開き戸(片開き・両開き)、引き戸(片引き・引き分け/半自動・自動)、折れ戸
② 防護の方法・・・扉本体にはもちろん鉛を入れなければいけませんが、枠にも鉛が必要です。また、扉の鉛と枠の鉛が、扉を閉めたときに重なるような構造にしなければなりません。さらに、枠の鉛と壁の遮へい体も重なるような構造にして下さい。例えば、両開き扉などの召し合わせ部は、鉛を入れるのを忘れられがちですので、特に注意してください。
Q-20.X線遮へい扉の下端と床との間に隙間があり、そこから光が漏れて いますが、X線は漏れていませんか?
隙間が6~8mm前後くらいであれば、測定器に顕著に現れるX線の漏えいは認められません。最近の医療福祉施設にあってはバリアフリーがうたい文句になっている今、こと さら沓ずりは敬遠されがちです。また看護の現場ではストレッチャーの出入りに支障を来たすとのクレームが多いのも事実です。扉の下端に付けるX線遮断装置が市販されておりますが、床のレベル精度が要求されることや、メンテナンスが悪いと不具合も多くなりますので、ご注意ください。
Q-21.X線遮へい扉の鍵穴からの漏えいはありますか?
多少の漏えいはあり得ます。しかし、X線装置の位置や照射方向、出力によっても違ってきますが、それは漏れている状態の方がたまたまという程度のことです。そういう理由で鍵穴からの漏れそのものより、扉の開閉をスムーズに行なうための取手や保安のために施錠する機能が優先されるのは、このためです。
Q-22.X線診療室の観察窓はどのように防護すれば良いですか?
観察窓の構成は、窓枠と含鉛ガラス等から成り立っています。窓枠の構造も扉と同様に鉛を挿入しなければいけません。特に注意しなければならない点は衝撃に弱い含鉛ガラス等の保護と、含鉛ガラスと枠材の遮へいの重なりです。また遮へいが十分にできる適切な重ね代をとる必要があります。さらに、枠の鉛と壁の遮へい体も重なるような構造にして下さい。観察窓は、含鉛ガラスや含鉛アクリルが使われていますが、建材として双方の物的特性の違いがありますので、選択時には特性を良く理解した上で使い分けてください。 また最近、含鉛ガラスの表面を薄いフロートガラスで合わせ加工して、水拭きできる含鉛ガラスが開発されています。
Q-23.X線診療室の内装には、どのようなものがありますか?
X線は、物質の透過性がある反面、物質に当たって反射・散乱してくる性質があります。この散乱が光と同じであると言われているゆえんです。X線診療室の画壁に当たった剰余X線等の散乱線を低減する目的で、後方散乱X線防護材という内装用建材があります。後方散乱線低減材の建材の形態として、クロス・タイル・長尺シート・巾木・塗料状のものなどいろいろありますが、法令では後方散乱線低減材の使用について規制はありません。したがって一般建材で施工可能です。
Q-24.X線診療室の床ピットからの漏えいはありますか?
X線の利用線すいの向きによっては、漏れる恐れがあります。漏れが無いようにするには、極力部屋の隅の方に設けるか、ピットの貫通部の上端をX線室の床レベルより下げる、もしくはピット貫通部でクランクを設ける等工夫が必要となります。もしも、漏えいがあった場合には貫通部を覆うピットの裏蓋に鉛を貼るか、ケーブル配線後に隙間を鉛で覆ってしまうなどの方法があります。
Q-25.X線診療室に換気扇や通気ガラリを付けられますか?
画壁等の外側で所定の線量以下になっていれば換気扇やガラリ等があってもかまいません。現実にはガラリのツバに鉛を裏打ちするとか、換気扇の前面等に開口を完全に覆うように遮へい材を取付けるなどの防護をおこなえば、所定の線量以下にすることができます。
Q-26.X線診療室を遮へいしている天井・床及び壁等を、設備用の機器・器具・ダクトやパイプ等が貫通する場合、その処理方法はどのようにすれば良いですか?
基本的に画壁等の遮へいと同等の遮へい能力のある材料で、裏打ちしたり、巻いたりして対処します。それ以外に注意しなければならないことは、設備防護処理した遮へい材は必ず画壁等の遮へい材と十分重ね代をとることです。ただし、設備等の防護に使われる遮へい材の大部分は鉛板で、厚い板で処理すると十分な巻き込みができないので、薄いもので重ねて貼る方法が良いでしょう。
Q-27.X線診療室の外壁面側に窓がある場合は、どうすれば良いですか?
医療法施行規則第30条の4にあるように遮へいは必要です。断崖・絶壁などのただし書き条項については、高層ビルなどの場合であって、その外側に隣接してビルなどの建物がない場合に限り、適用されるものと考えるべきです。一般的に医療監視の指摘事項では、窓部の防護が不完全と見なされる場合があるようです。
遮へいの方法には、次の様な工法があります。
① 湿式工法 (イ)コンクリートで完全に埋めてしまう。
② 乾式工法 (イ)鉛又は鉛合板を張ってふたをしてしまう。
  (ロ)引き戸になっている場合、引き戸を鉛入りにする。
 (ハ)引き戸の内側に、雨戸式の鉛入戸を付ける。
       (ニ)引き戸の内側に、鉛カーテンを付ける。
* 以上すべて必要鉛当量を確認の事。
Q-28.集合ビル内のテナント診療所で、X線診療室が他のテナントと接す る場合のX線防護の対応を教えてください。
集合ビルの場合、上・下・左・右に接する画壁は病院診療所の敷地境界(六面)の扱いとなり、遮へい基準も厳しくなっています。また、画壁等が仮に鉄筋コンクリートであっても、遮へい能力(厚さ・密度)が確認できない場合は、遮へい計算の要素として使用しないで計算を行うことをお勧めします。また、隣人との関係でその場所に立入ることができず、放射線漏洩測定が行えない場合などは、特に安全となる鉛厚で防護する必要があります。
Q-29.集合ビル内のテナント診療所等では、どのような事に注意すれば良いのでしょう?
天井、壁、床共に鉄筋コンクリートで構成され、遮へいに必要な厚さがある場合は、扉等開口部への配慮がされればそのままで良いです。遮へいが不十分である場合もしくは疑わしい場合には、遮へいがつながるように防護します。天井方向では、天井面で防護するのが良いでしょう。スラブ下に直接鉛板等を貼ることは、設備機器や吊りボルトの関係で大変難しい作業になります。壁は、軽量鉄骨下地(LGS)や木造間柱をスラブ間に立てて、これに鉛合板等を貼ってゆけば良いでしょう。床は、鉛板や鉛合板を敷きこみます。OAフロアのように床が上がる場合は、遮へいがとぎれないように気をつけてください。
Q-30.X線診療室を解体・撤去する場合、放射線は残っていますか?
診療領域で使用するエネルギーのX線では、物体が放射化されることはありません。X線診療室を解体・撤去した後も、放射線は残っていません。鉛を除いた解体廃材は一般産業廃棄物として処理できますが、鉛を含む廃材(鉛複合版・鉛入り建具・含鉛ガラス等)は分別してリサイクルするか、特別管理産業廃棄物として処理する必要があります。
鉛のリサイクルに関しては日本鉱業協会 鉛亜鉛需要開発センター  http://www.jlzda.gr.jp にお尋ねください。
Q-31.動物用のX線診療室の場合もX線防護は必要ですか?
法律(獣医療法)に基づいて、防護する必要があります。特に体の大きな動物の場合は人間より高い出力でX線撮影をしますので、遮へいも厚く(鉛厚が厚く)なってきます。
Q-32.X線診療室を設けた場合、どういう検査がありますか?
医療法施行規則第30条の22で、放射線障害が発生するおそれのある場所の測定の義務が定められています。この測定では、まずX線診療室の遮へいが確実に行われているかの確認を行い、その測定結果をX線装置備付届に添付し、監督官庁に提出することになっています。
Q-33.X線の漏えい検査は、どのように行なえば良いですか?
電離箱サーベイメータというX線・γ線を検知できる放射線測定器を用いて行ないます。X線に関する専門的な知識と正しい測定方法に即して行なわなければいけません。
Q-34.X線診療室のX線装置の据付位置が変わった場合、遮へいも変わりますか?
位置が変わった場合、漏洩線量測定を行いX線診療室の画壁等の外側の線量が、所定の線量以下であれば、遮へいはそのままで良いことになります。しかし線量を超す恐れのある場合は、速やかに遮へいを追加する必要があります。また、X線装置の据付位置や、防護の内容に変更が生じた場合、保健所等へ所定の手続が必要となります。
Q-35.無鉛X線遮へい石こう板とはどのようなものですか?
 医用X線装置を使用する部屋のX線遮へい材で、従来の鉛付石こうボードとは異なり硫酸バリウムを石こうと混合し、ガラス繊維で補強した環境にやさしいX線遮へい材です。
Q-36.歯科用のCT装置のX線防護はどうすればよいですか?
 歯科用のCT装置とは、歯科に特化したX線CT装置で、医用X線CT装置と同様に断層画像や三次元立体画像を得ることができ、根先病巣、親知らずの抜歯やインプラントなどの診断に用いられています。医用X線CT装置との主な違いは撮影方法で、医用は寝台に横になった患者がガントリーの中を移動しながら撮影を行いますが、歯科用のほとんどの装置は、X線源と検出器が椅子に座った患者の頭部を中心に回転し撮影を行います。X線防護について、当装置はX線CT装置に該当しますので、医療法等に基づいて防護する必要があります。装置がコンパクトであるため、施工方法については在来工法の他に組み立て式のX線防護ボックスを採用す ることも選択枠のひとつとなります。
Q-37.骨密度測定装置はどのような物ですか? またそれを設置する検査室の遮へいはどうすればよいですか?
 骨密度測定装置は、超音波パルスを用いて踵骨(しょうこつ)の骨密度を測定する超音波踵骨測定装置と、X線ビームを用いて前腕部や全身の骨密度を測定するX線骨密度測定装置があります。超音波踵骨測定装置は、遮へいの必要はありません。しかしX線骨密度測定装置は、X線ビームを用いますので、放射線管理区域に設定されたX線診療室内に設置することが必要になります。X線診療室の壁、天井、床、観察窓、入口扉等の遮へい方法については、各都道府県保健所や装置メーカーにご確認下さい。
Q-38.乳房撮影室に操作室は必要ですか?
医療法では、近接操作で技師は必要な防護物をもうけなおかつ、乳房撮影室の放射線防護ができている事が条件で、操作室が無い事も可能です。
Q-39.動物用X線診療室に操作室が必要ですか?
X線装置の操作は、遮へい壁、防護つい立等の遮へい物の外側で行われますが、獣医師自らが透視又は1週間につき250ミリアンペア秒以下で撮影を行う場合に限っては、遮へい物の内部で行っても差し支えないものと解釈されています。ただし、この場合においては、鉛エプロン等の防護衣及び防護手袋を使用すること等により被ばくする線量の低減に努めなければなりません。(「獣医療法施行規則の一部を改正する省令及び関連告示の施行に伴う診療用放射線の防護等について」平成21年2月20日 20消安第11529号 ) したがって、X線の使用量によっては操作室が不要な場合もあるので、施設計画時点で使用者に確認すべきことがらです。
Q-40.ポータブル装置(移動型X線装置)で撮影を行う場合の注意点は何ですか?
X線診療室以外の場所でのX線装置を使用することは禁止されていますが、移動困難な患者に対して、移動型X線装置を一般病室内で使用する場合には例外として認められています。 X線遮へいがなされていない場所でのX線撮影となるので、操作者や他の患者などの被ばく低減に努めなければなりません。具体的には次のようなX線管理が行われています。
① 操作者はX線管球および検査する患者から 2.0m 以上離れるか、防護衣を着用してX線を照射する。
② 他の患者にはX線装置を使用することを告げて、X線管球および検査する患者から2.0m 以上離れることを指示する。
Q-41.測定時に留意することは何ですか?
病院又は診療所の管理者は、エックス線装置設置後、エックス線診療室の天井、床、周囲の画壁もしくは管理区域境界について、使用を開始する前に1回及び開始した後は6ヶ月を超えない期間ごとに1回放射線の量を測定し、その結果を5年間保存することが医療法で義務付けられています。放射線量測定を行うものについての資格要件等は、法令上特に規定はありません。しかし、エックス線に関して十分な知識を持っていなければ、適切な測定を行うことは出来ません。そのため、診療放射線技師、放射線取扱主任者、作業環境測定士、エックス線作業主任者等の資格を有していることが望ましい。
Q-42.漏洩確認の測定はいつ行うのですか?
機器設置前の測定では、X線診療室の遮へいが基準を満たしているかを判断出来ません。これは、撮影条件(管電圧、管電流など)によって物質に対するX線の透過率が変わる事や、管球位置や向きで線量が大きく変わる為、設置する医療用X線装置自体で測定する必要があるからです。そのため、責任施工の観点で工業用X線装置などを用いて測定を行うのは、施工不良等の確認のためであり、医療法上のX線透過量の大小を判断出来ませんのでご注意下さい。医療法では、装置設置後にX線診療室の遮へいが確実に行なわれているか測定を行い、その結果を監督官庁に提出すると定められています。
Q-43.届け出に留意することは何ですか?
病院又は診療所に、エックス線装置を新たに設置または更新した場合、所定の手続きが必要となります。手続き方法は、関連法規によって異なります。
《医療法》
エックス線装置設置後、10日以内に所轄官庁(保健所等)に届出書を提出しなければなりません。届出には、所定の様式を使用します。エックス線装置を新たに設置した場合は、備付届(設置届)、それ以外は事由により変更届や廃止届を提出します。備付届(設置届)には通常、放射線量測定結果報告書を添付します。放射線量測定結果報告書は、①測定事業所名や測定日時、測定者等を記載する測定記録書、②測定条件や測定結果を記載する測定結果書、③測定箇所がわかる平面図、立面図から成ります。また、エックス線診療室の遮へい計算書の提出を求められる場合もありますので、詳細は所轄官庁に確認してください。
《労働安全衛生法》
エックス線装置の設置を始める30日前までに、所定の様式にて届け出なければなりません。添付する図面、資料等については所轄の労働基準監督署に確認してください。
Q-44.X(エックス)線施設に係る関係法規(医療法・電離放射線規則・獣医療法・放射線障害防止法)について教えてください
医療法では、医療施設の開設・変更に当たっての手続きの他、その構造設備、人員配置等の基準が定められているが、そのうち、医療法施行規則は、病院または診療所に定格出力の管電圧が10キロボルト以上かつ1メガ電子ボルト未満の診療用エックス線装置を備えたとき、10日以内に所在地の都道府県知事に届け出なければならないとしている。また、診療用放射線の防護の基準を医療法施行規則第4章にその詳細を定めている。電離放射線障害防止規則は、労働安全衛生法に基づき、放射線障害から労働者を保護する観点から使用者に対する健康診断の義務づけ等の規制が行われている。なお、船員および公務員についてはそれぞれ船員電離放射線障害防止規則、人事院規則10-5に基づき、規制が行われている。 
獣医療法は飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的としている。 獣医療施行規則には診療施設の開設・変更に当たっての手続きの他、その構造設備の基準が定められており、第2章に診療用放射線の防護について定められている。
放射線障害防止法は、広く放射線障害の防止を図るため、放射性同位元素、放射線発生装置又は放射性同位元素によって汚染された物の取り扱いについて規制を行っている。  したがって、放射線障害防止法においては、診療用放射性同位元素、診療用エックス線装置以外の装置、器具等についてその使用の基準、構造設備上の基準安全管理基準の遵守、放射線施設に立ち入る者に対する教育訓練、健康診断等の義務づけ等が定められている。

「X線防護工事 標準化マニュアル」(2011年4月JIRA発行)
「診察X線管理区域漏洩線量測定方法の調査研究 平成14年度報告書」

http://www.jira-net.or.jp/commission/hyoujunka/index.html
よりダウンロードできます。